世界のビジネス環境は、多くのリーダーが追いつくのに苦労するほどのスピードで変化しています。
SVL President & Co-Founderのグレン・ウッドと代表取締役の中沢 辰彦による『Too Big to Care』では、企業が「資本主義の原点」に立ち返るべき理由が語られています。それは、突出した利益を生み出すと同時に、社会に対して並外れた価値を提供することです。
本記事では、本書の第1章から第4章で取り上げられているテーマ”ロジスティクス、循環の力、ESG、そして環境責任”について掘り下げていきます。
1. ロジスティクス:資本主義を支える見えざる原動力

ロジスティクスとは、単にモノをA地点からB地点へ運ぶことではありません。それは「世界中の企業活動を支える、根幹でありながら往々にして見過ごされがちな基盤」です。ロジスティクスがなければ、店舗の棚は空になり、オンライン小売は立ち行かなくなり、テーマパークのようなエンターテインメント施設でさえ機能しなくなるでしょう。
かつて企業は、密接につながったコミュニティの中で事業を営んでいました。経営者は従業員や顧客を個人的に知っており、人と人との関係性がビジネスの土台にありました。しかし、企業の成長とともにロジスティクスが地理的距離を可能にすると、そうした人間関係は徐々に希薄化していきました。その結果、説明責任は弱まり、企業の意思決定を取り巻く社会的な結びつきもまた脆弱になっていったのです。
グレンは、ロジスティクスは再び進化しなければならないと述べています――今度はサステナビリティと整合するかたちで。
2. 線形思考から循環思考へ

従来のビジネスは、
「採取する → 使う → 廃棄する」という直線的(リニア)モデルに基づいてきました。このモデルは廃棄物を生み出し、資源利用の長期的影響を十分に考慮していません。
これに対し、循環型モデルは、あらゆるインプットとアウトプットを再生可能なサイクルの一部として捉えます。そこに「廃棄物」という概念はなく、すべては再活用を待つ資源であるという考え方です。
グレンはこれを、SVL自身の取り組みを通じて説明しています。
- サラダ製造業者では、約30%の野菜が「廃棄物」として発生する。
- 通常は1kgあたり20〜30セントを支払って焼却処分される。SVLはそれを24時間以内に肥料へと加工する。
- その肥料によって、より強く、栄養価の高い野菜が育つ。
この仕組みによって、廃棄コストを削減し、汚染を回避し、新たな価値ある製品を生み出すことが可能になります。
循環性は物質だけに当てはまるものではありません。情報もまた循環させることができます。SVLでは、ドライバーを重要な接点として位置づけています。多くの場合、彼らは顧客と日々直接顔を合わせる唯一の存在です。そのすべてのやり取りを記録し、業務改善へとフィードバックする仕組みを整えています。SVLはいかなる接点も無駄にはしません。
3. ESG――なぜ今、サステナビリティがこれまで以上に重要なのか

環境・社会・ガバナンスに対する期待は、世界のビジネスのあり方を大きく変えつつあります。
投資家はいま、ESGという原則――Environmental(環境への影響)、Social(社会的取り組み)、Governance(ガバナンスの透明性)――を精査しています。
株主は、単に不正を回避する企業ではなく、社会をより良くする企業を求める傾向を強めています。また各国政府も、企業に対し国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を促しています。
対応が遅れた企業には、現実的なリスクが伴います。
- 非効率によるコスト増加
- 価格競争を強いられることによる利益率の縮小
- ブランドおよび企業評価の毀損
- 投資家・顧客・人材の獲得難
一方で、早期に取り組んだ企業は、競合が容易に模倣できない構造的優位性を手にします。
4. 環境を「義務」ではなく「戦略」として捉える

企業に対する環境面での期待は年々高まっています。そしてそれは正当なものです。グレンは、企業は自らの環境フットプリントを正確に理解し、自社が「純粋に環境へ悪影響を与えているのか」「中立なのか」「それともプラスの存在なのか」を評価しなければならないと述べています。
その一例として挙げられているのが、イギリスのマクドナルドによる取り組みです。使用済みの食用油をバイオディーゼル燃料へと転換し、配送トラックの燃料として活用しています。この循環型の資源再利用は、環境負荷を低減すると同時に、運営コストの削減にもつながっています。
この枠組みにおいて、環境配慮は慈善活動ではありません。それは競争優位を確立するための戦略なのです。
さぁ、次に何をすべきなのか
『Too Big to Care』第1章から第4章は、ひとつの明確な事実を示しています。それは循環性、ESG、そしてサステナビリティを統合できない企業は、時代遅れでリスクの高いモデルに自らを縛りつけているということ。
一方で、これらを単なるPRではなく、事業運営の戦略として本質的に取り入れる企業こそが、持続的な成長を実現するポジションに立つことができます。
さらに詳しく知りたい方は、ぜひ本書をお手に取ってみてください。次の時代の競争優位を築くヒントが、そこにあります。
