ビジネスには二つの柱があります。一つ目は、収益性の高いビジネスの開発。もう一つは、社会に対する責任、環境に対する責任、そしてコーポレート・ガバナンス上の責任を融合させること。SVLは、この2本の柱の間に調和のとれた関係を構築することを重要視しています。これを達成するには、環境や多様性に配慮した思いやりのある職場環境や透明性あるコーポレート・ガバナンスの構築、そして従業員の生活にも配慮した総合的な事業戦略が必要です。SVLは、昨今ますます多様性に富み、誰にでも広く門戸を開くようになった世界において、従業員を優先しない企業は最終的に失敗する、そして、忠実でやる気のある従業員のニーズを知り、それに応えることが集団としての最善の利益であると考えています。
私たちは、SDGs(社会開発目標)やESG(環境・社会・企業統治)の目標を達成するには、透明で構造的なコーポレート・ガバナンスへのアプローチが前提であると考えています。
ESGとは、具体的には、企業の持続可能性と社会的影響を測る指標のことです。環境や社会に害を及ぼす企業は、長い目で見ればいずれ破綻すると広く考えられており、株主は自分たちの将来の財務実績を守るために、ESGのベストプラクティスの採用を優先する必要があります。SVLは、弊社のお客様にESGの概念を教育し、大小にかかわらず、お客様が起こす変化が、持続可能性やコスト、生産性に影響を与えることを説明しています。
ESGの概念は、20世紀後半の1988年にジェームズ・S・コールマンがアメリカン・ジャーナル・オブ・ソシオロジー (American Journal of Sociology) に発表した「人的資本の創造における社会資本 (Social Capital in the Creation of Human Capital)」という論文がきっかけとなって、大きく注目を集めました。この論文は、経済学における「利己主義」と資本主義的な「唯我論 (自己中心主義)」の優位性に疑問を投げかけ、価値の評価に社会資本の概念を導入しました。
ではESGとは具体的に何なのか?
「社会的責任投資とは、投資家の道徳的価値観と企業の潜在的な財務利益を考慮し、この両者に合致しない投資を排除する投資戦略です。ESG投資は、より焦点を絞ったもので、具体的には環境、社会問題、コーポレート・ガバナンスに照準を合わせています。これら3つの要素を総合的に判断して、その投資の潜在的なプラスの影響を決定します。これら3要素のうち、1つ以上の分野で傑出した企業に投資するというものです。
専門家の中には、ESGに優れた企業は、消費者と従業員双方の関心事に積極的に取り組んでいるため、成長が期待できる有利な立場にあると主張する人もいます。例えば、企業が公正な労働条件や多様性、持続可能性などを優先することは、自社の従業員だけでなく、地域社会に対するコミットメントも示すことになります。この態度は、意識の高い投資家にとって特に魅力的なものとなる可能性があります。」
Experian, 2021年4月
投資業界では、投資分析における考慮事項としてESGファクターを取り入れていくことは避けられないと考える人が多くいます。ESG課題への配慮と財務パフォーマンスとの関係を示すエビデンスは日増しに大きくなっています。受託者責任と、投資の長期的な持続可能性の必要性が広く認識されるようになったことで、環境、社会、コーポレート・ガバナンスへの関心が、投資市場においてますます重要になってきています。ESGはもはや重要なコンセプトとして、社会奉仕の問題ではなく、現実的な実用問題となっています。
SVLに関して言えば、私たちは資本主義環境において資本の配分が、経済活動や企業活動の主な原動力であることを熟知しています。ESGは、社会に付加価値を与え、コーポレートガバナンス、社会問題、環境問題を優先する事業に資本を配分する手段となり得ます。実際、公的資本も民間資本も、現状ではこのような形態をとることが多く、SVLのような企業が資本や投資を集めやすくなることが期待されています。また、投資家がESGに注目するようになると、ESG戦略を実施している企業の全体的な資本コストが低下し、戦略的な競争優位性が飛躍的に高まります。
根本的に回帰的なアプローチにより、私たちのESG認知教育で最も影響を受けたSVLのお客様は、自らもより良い投資を集め、拡大を目指すことができます。長期的に見れば、ESGに真剣に取り組むことは、SVLや私たちの顧客基盤、さらには社会や環境全体に利益をもたらすのです。