物流・運輸業界におけるカーボンニュートラル

11月 21日 2023

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運輸・物流業界はグローバル経済において重要な部分を占めている一方で、環境にも大きな影響を及ぼしています。この業界は、世界の温室効果ガス排出量の大部分を占めており、排出量削減とカーボンニュートラル達成のための重要な対象です。

運輸・物流業界が排出量を削減し、より持続可能性を高めるための取り組みを行う必要があるのには、いくつかの理由があります。

第一に、気候変動は地球全体の課題で、地球に住む全ての生物に壊滅的な影響を及ぼします。物流・運輸業界がCO₂などの排出量を削減することで、地球温暖化の進行を遅らせ、気候変動による最悪の影響を防ぐことができます。

次に、消費者や企業がより持続可能で環境に優しい製品やサービスを求める傾向が強まっており、業界がこうした期待に応えることがより重要になってきています。

では、運輸・物流業界はどうすればカーボンニュートラルを達成できるのでしょうか?ここでは、業界が取ることのできる重要な対策を紹介します。

  1. 電気自動車の導入: 電気自動車(EVs)は、従来のガソリン車に代わる、クリーンで効率的な自動車です。運輸・物流業界の車両を電気自動車に移行することで排出量を削減することができます。
  2. 車両管理とロジスティクスの改善: ルートを最適化し、無駄な走行距離を減らすことで、運輸・物流業界の企業は排出量と燃料消費量を削減できます。また、テレマティクスやGPS追跡機能を利用することで、燃費効率をモニターし、改善点を特定することができます。
  3. 再生可能エネルギーへの投資: 運輸・物流業界の企業は、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入し、化石燃料への依存度を減らすことで、排出量を削減することができます。
  4. 低炭素燃料の導入: 運輸・物流業界は、車両の燃料をバイオディーゼルや水素などの低炭素燃料に移行することで、排出量を削減することができます。
  5. カーボン・オフセットの導入: 運輸・物流業界の企業は、カーボン・オフセットプログラムを実施することで、再生可能エネルギーやカーボンニュートラルに投資し、排出量を埋め合わせるものです。

運輸・物流業界の大手企業も、排出量を削減し、持続可能性を高めるための対策を講じています。例えば、グローバルなロジスティクス企業であるDHLは、2050年までにカーボンニュートラルを目指すという目標を掲げています。同社は再生可能エネルギー、電気自動車、低炭素燃料に投資し、排出量の削減に取り組んでいます。

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UPSは、2025年までに再生可能エネルギーを100%使用するという目標を掲げ、電気自動車や代替燃料に多額の投資を行っています。

フェデックス (FedEx)は、2040年までにカーボンニュートラルになることを目標に、代替燃料や、電気自動車、低炭素技術への投資など、包括的なアプローチで排出量削減に取り組んでいます。

スマートビジョンロジスティクス(SVL)もまた、燃費の良いトラックを使用したり、3R原則「リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)」のためのリバース・ロジスティクスに注力したりすることで、持続可能性に向けた多大な取り組みを行っています。同社は食品関連の配送から出る廃棄物のリサイクルに特化し、食品廃棄物を堆肥に変えて顧客に配送しています。

この取り組みは、埋立地に送られる食品廃棄物の量を減らし、より循環型経済に貢献します。リバース・ロジスティクスに注力することは、物流企業の3R原則にどのように貢献できるかを示す一例です。廃棄物を削減し、物流プロセスを最適化することで、企業は環境への影響を減らすと同時に、収益にも貢献することができるのです。

結論として、運輸・物流業界は、排出量を削減し、カーボンニュートラルを達成する上で極めて重要な役割を担っています。この記事に紹介されている方法を導入したり、大手企業独自の対策を活用したりすることで、業界はより持続可能なものとなり、気候変動の影響を緩和する役割を果たすことができることでしょう。大手企業がすでに大きな進捗を見せていることから、運輸・物流業界が本格的な変化をもたらし、持続可能性のモデルとなる可能性を秘めていることは明らかです。