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2024年、日本の出生数は72万988人と過去最低を記録しました(厚生労働省発表)。これは9年連続の減少で、前年から5%減少しています。どれほど日本が出産や子育て支援を進めても、急速な高齢化と人口減少が今後の日本社会の姿を決定づけるという現実を、改めて突きつける結果となりました。2025年には、戦後のベビーブーム世代が70代後半、つまり後期高齢者となり、かねてより指摘されてきた「2025年問題」が本格化。医療費や介護費が今後ますます増加していくと見られています。
一方で、韓国の例にも見られるように、結婚や子育てをうまく支援することで少子化に歯止めをかけることが可能であることも、データは示しています。というのも、特に日本では、欧米諸国に比べて婚外子が少ないため、結婚の促進が重要視されています。しかし結婚数も減少傾向にあり、2024年には2.2%の微増があったものの、それはコロナ禍後の一時的な反動に過ぎない可能性が高く、長期的な改善傾向とは言い切れません。
では、日本政府はどのような取り組みをしているのでしょうか?たとえばAIを使ったマッチングアプリや、都職員向けに導入された週休3日制度(いずれも小池都知事の政策)など、前向きな取り組みは行われています。しかし、これらが「親の権利」に対する考え方を根本から見直し、また経済的安定や賃金の伸びといった重要課題にしっかり対応できているかは疑問です。出生率を現在の1.2から人口維持に必要な2.1まで回復できなければ、日本の将来の経済にはかつてないほどの負担がかかり、若い世代に巨大な重荷がのしかかるリスクがあります。
日本は、経済を動かし続けるためだけでなく、自衛隊の体制を維持し、高齢化する社会を支えるためにも、労働力を確保しなければなりません。
しかし、それを外国人労働者や技術革新だけに頼ることはできません。もちろん、世界が同様の未来を見据える中、日本が開発する先進的な技術がビジネスチャンスにもなり得ますが、現実として出生率の低下は特許出願数の減少などにも影響しており、既にイノベーションへの脅威が現れています。さらに追い打ちをかけるように、医療費・介護費の急増が予測され、より良い病院や施設、介護職員、そしてそれらを支えるより多くの財源が必要になります。
このまま効果的な対策が講じられなければ、日本の人口は2023年の1億2400万人から、2100年には6300万人にまで減少すると予測されています。地方のコミュニティや自治体の消滅も予想され、伝統工芸や地域文化が失われる危険もあります。
結婚や子育てを促すには(政府がその役割を担うべきです)、若者の就業機会を改善し、男女格差を解消し、ワークライフバランスの確保とその実行が不可欠です。企業は、従業員が家庭を持つことを後押しし、そのための具体的な支援制度や明確な福利厚生を整備すべきです。
育児休暇の取得、柔軟な勤務形態、さらには経済的支援などを通じて、将来の親たちが経済的・心理的に安心して家庭を築けるようにすべきです。これは結果として、政府や経済全体の利益にもつながります。
育児休暇に1ドルを投じるごとに2.50ドルのリターンがあるという調査データもあり、働く親を支援することで、より高い忠誠心や生産性を引き出し、企業にとっても利益となることは明らかです。
Too Big to Care?
私たちSVLは、成功する企業は、働き方やその成果の感じられ方に影響を与える中核的な価値観に基づくべきだと考えています。その一環として、私たちは職場文化の根幹に、親の権利と平等の推進が不可欠だと信じています。
詳しくは、グレン・ウッド著『Too Big To Care』を是非ご覧ください。